写真は、歯の痛みを訴えて治療したミニチュアダックスの歯の写真です。奥歯の1本が縦に割れ、歯髄も露出しています。
原因は歯石予防のために与えていた「ひづめ」と思われます。
犬の歯石予防として、「ひづめ」「鹿の角」などが販売されていますが、これらが原因と思われる歯のトラブルが散見されます。
今回のように明らかに痛みを訴えるケースこそ珍しいですが、健康診断の時にこの部分の歯が折れているのが発覚し、話を聞くと「ひづめ」を与えていた、というパターンが非常に多いです。
歯の表面は通常エナメル質で覆われてつるつるしていますが、折れた断面はざらざらしており、非常に歯垢・歯石がつきやすくなります。
また、歯髄(血管や神経の含まれる部分)が露出してしまうと、痛みや感染が起きやすくなります。
割れた歯を治す技術は専門性が高く、一般の動物病院では抜歯になってしまうことがほとんどだと思います(うちでも抜くことしかできません、ごめんなさい!)。
基本的に、犬や猫の奥歯は肉を引きちぎるための「裂肉歯」と言われており、三角形の山形になっています。硬いものを噛もうとすると、形状的に割れやすく、「ひづめ」や「鹿の角」だけでなく、「硬めのデンタルガム」でも同様に割れてしまうリスクがあると報告されています。
おもちゃとして与えるものは、指で押してつぶれるぐらいの柔らかさのものまで、とも言われます。
硬いものを推奨しているペットショップやネットの記事もありますが、実際にこういった事故が起きうるということを、覚えておいてくださいね。